前回、ヒバの木の話をしなければいけなかったのに、家づくりの順序について話してしまい、慌てて訂正の文章を作っている、田中榮一郎です。
ヒバの木と言われても、よくわからないよ、という方がほとんどでしょう。今回は、ヒバという木の魅力についてお話しします。
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ヒバの年輪って見たことありますか?とても詰まっていて、数えられないくらい年輪と年輪がくっついています。
年輪が見えないでしょう?これだけ目の詰まっている木はないですね~。
目が詰まっているということは、それだけ堅く、強い木ということになります。なので、ヒバは家の構造体としては、土台に使われています。土台は基礎と柱の間に挟まれている材料です。屋根から下にある家の荷重を柱を通じて土台で受け止め、基礎に伝えています。そして、基礎から地盤に荷重を伝えます。もし、土台が柔らかい木だとしたら、どうなると思いますか?土台自体が柱からの重い荷重につぶされて、凹んでしまいます。そうすると、柱の位置も下がり、結果として2階の床の高さが下がってしまいます。やはり、土台は堅い木でないとダメなのです。
大工さんの格言に「土台は、ヒバかヒノキかクリ」と言われています。どの木も堅いですが、クリは昔の国鉄の線路の枕木に使われていました。あんなに重い電車を支えた木ですので、とにかく堅いです。しかし、クリは長ものはなかなか取れません。ヒバとヒノキにはヒノキチオールという、芳香成分が含まれています。弊社の天然木スタジオで、よく開催する実験でも、ヒバに水を掛けるとヒノキチオールの香りがするというものを良くやっています。水を掛けていない側のヒバはほとんど香りがしません。これはなぜかと言いますと、木が水にぬれている状態が続くと、腐朽菌(ふきゅうきん)という木を腐らせる菌が寄ってきます。そうすると、ヒバが持っている防衛本能が働き、ヒノキチオールを放散します。ヒノキチオールはヒトが使う薬にも応用されていますよ!水虫の薬や、歯槽膿漏の”しょうよう”という薬にも使われています。だから、ヒノキチオールはヒトには無害です。精神を安定させる働きもあります。しかし、シロアリにとってはとても嫌な臭いとなり、逃げだしてしまいます。ヒバは防蟻性(ぼうぎせい)の一番高い材料です。そういう理由もあって、大工の格言にヒバが入っているのでしょうね。
いかがでしたでしょうか?ヒバの木について少しご理解いただけたでしょうか?相田みつをさんの詩にも「花を支える枝、枝をさせる幹、幹を支える根、根は見えねんだなぁ~」というのがありますが、土台で頑張るヒバは、木のすべてを支えている根のように、家のすべてを支えている材料と言っても、過言ではないでしょう。