ご夫婦2人と息子様夫婦+息子様の2世帯住宅。大きすぎず、小さすぎずお互いのプライベートな空間を保ち、自然素材に囲まれながら家族がつながる住まいをご紹介します。
ほどよい大きさでデザインされたLDKは、吹き抜けと採光によって気持ちのいい明るさを保つ空間に。しっくい壁の落ち着いた白と化粧梁をはじめとした要所の天然木材のやわらかさのバランスにこだわっています。また、ご夫婦によって飾られた植物や小物たちが演出する雰囲気がとてもかわいらしく、住む人の人柄を映し出すような住まいになっています。
つかず離れず、スペースを持て余すことのない平面図上ではシンプルな空間設計。そんな中でもキッチンカウンターでお茶を飲んだり、ソファーでくつろいだり、それぞれのスペースで自分の時間を楽しんだりと日々の小さな変化を楽しみながら暮らす住まいをつくりあげました。
ご夫婦がもともとお持ちだった、吊り下げタイプの照明器具を活かしたいとのリクエストにお応えしました。化粧梁の天然素材と、かわいらしい照明が絶妙なバランスで個性を演出してくれています。キッチンに向かってのアイストップにもなり、リビングからキッチンへの大切なアクセントになりました。
天井はリビングと違った素材の変化を。レッドシダーを貼ることで、リビングのしっくいがもつやわらかでさわやかな印象とは違った、少し大人で品のある空間に。既製品のカップボードで収納力を確保しながら、造作の棚でらしさをしっかりとつくりこんだ特別な仕上がりとなりました。
木質とアイアンの棚受けで造作した食器棚に並べられた食器たちが、この家のらしさをより際立たせてくれています。ご夫婦ふたりの暮らしを想定すると大量の食器類は必要がない。だからこそ、ひとつひとつにこだわってそこに置くだけで存在感のあるインテリアに。
洗面室を確保するとリビング空間が小さくなる。そのデメリットの解消のために提案したアイデアが、小屋裏収納をつくるためにしつらえた階段とその下の空間を活かしたオープン洗面。ご夫婦ふたりだけが使うというライフスタイルを想定し提案しましたが、わんちゃんがいる暮らしだからより活用のシーンが広がりました。
キッチン前はカフェのようなゆったりとしたカウンタースペース。キッチンまわりのインテリアやご夫婦で選んだ植物を眺めながら、リビングだけでは得られないアクセントになる時間を。カウンターの奥行きにもゆとりを持たせたデザインにすることで、書きものをしたり食事をとったりとテーブルスペースとして活用できるように考えました。
息子様の個室は、男らしく引き締まった空間を、しっくいに顔料などで色つけした特別仕様の「黒しっくい」をふんだんにつかって仕上げました。白いイメージのあるしっくいも、黒に染まることで光のコントラストがはっきりし、ちょっと無骨で遊び心のある空間に仕上がります。
息子ご夫婦が暮らす1階はアイランドキッチン型でちょっとモダンな仕上がりに。道路に面していないレイアウトなので、大きな掃き出し窓に加えて十分な採光が取れる設計ができました。自然素材の色合いはナチュラルテイストにもモダンにも、幅広い空間イメージがつくれることも特徴のひとつ。
小屋裏(ご主人の秘密基地)につながるオープンな階段。オープンにすることで、窓をつけられ階段自体がインテリアのようになりながら、リビングにも採光が確保できました。階段に植物を飾るセンスもさすがです。
社会情勢によって入手困難だったレッドシダー。なんとか確保して、この家づくりの象徴のひとつになりました。
玄関の手洗いカウンター。新しい生活様式にも、素材感・サイズ感にこだわり適応するご提案。
グレーのしっくいと窓からの光のコントラスト。しっくりならではの凹凸が小さな影をつくり、それが世界にひとつのデザインを演出してくれます。
「ムラがあってもそれが味になる」。実はしっくいの色づけは濃い色ほどムラが出てしまいます。だけど自然素材だからこそ、そのムラを楽しんでいただくことがひとつの醍醐味かもしれません。
薄い色のしっくいもおすすめです。ニッチのアクセントとして取り入れることで、お花や花瓶などの飾り物がより際立ちます。